平成20年 宅建試験過去問 問45 宅地建物取引業法~ 罰則

【問45】 宅地建物取引業者A (甲県知事免許) に対する監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1(両罰規定)
Aの専任の取引主任者が事務禁止処分を受けた場合において、Aの責めに帰すべき理由があるときは、甲県知事は、Aに対して指示処分をすることができる。
取引主任者が取引主任者としての事務に関して、著しく不当な行為をした場合(例えば、主任者証を提示しないで重要事項を説明した)、取引主任者本人が指示処分や事務禁止処分を受けることがありますが、取引主任者を雇っている宅建業者にも責任があれば、宅建業者に対しても指示処分ができます。
監督する責任があるからです。
監督処分は、業者と取引主任者の両方同時でもできます。よって ○
(参考過去問)
宅地建物取引業者A(法人)が受けている宅地建物取引業の免許の取消しに関して、Aの取締役かつ取引主任者であるEが、取引主任者の事務に関し1年間の事務禁止の処分を受けた場合で、Aの責めに帰すべき理由があるとき、情状のいかんにかかわらず、このことを理由としてAの免許が取り消されることはない。(10-31-4)×
2 聴聞を行わなくても監督処分ができる場合
甲県知事は、Aの事務所の所在地を確知できないときは、直ちにAの免許を取り消すことができる。
以下の2つに該当する場合は、聴聞を行わなくても監督処分ができます。
ア.聴聞がいつ開かれると、通知をしたにもかかわらず、その者又は代理人が正当な理由がなくて、聴聞期日に出頭しない場合。
イ.その処分を受ける者が所在不明で、通知ができず、かつ、聴聞の期日等の公示をした日から30日が経過しても所在が判明しないとき。
言い訳をしに来なくて、どこにいるかも分からないのでは、仕方がないからです。
ちなみに、知り合いの不動産会社の社長で聴聞の日に合コンにいったのがいました。本当の話しです。結果ですか?一発で免許取消です。笑った・・。
通知ができず、かつ、聴聞の期日等の公示をした日から30日が経過しても所在が判明しないときなので ×
3 免許取り消し事由
Aが宅地建物取引業法の規定に違反したとして甲県知事から指示処分を受け、その指示に従わなかった場合、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。
業務停止処分事由のどれかに該当し、情状が特に重いとき又は業務停止処分に違反したとき免許取消。情状が特に重い場合にのみ、免許取消し処分になります。よって ×
(参考過去問)
宅地建物取引業者Aが、建物の売買に関し広告をし、又は注文を受けた場合の取引態様の明示に関して、Aは、取引態様の別を明示すべき義務に違反する広告をした場合、業務停止処分の対象になることがあり、情状が特に重いとき、免許を取り消される。(10-34-1) ○
4 広報による告知
甲県知事は、Aに対して指示処分をした場合には、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。
また、免許権者である国土交通大臣、都道府県知事は、免許を受けた業者に対して、業務停止処分、免許取消処分を行った場合は、国土交通省令の定めるところにより、その旨を公告しなければなりません。
指示処分の場合、公告義務はありません。
この公告は都道府県の公報ですることになっています。広くみんなに、免許の取り消しをしたことを知らせて、モグリ営業などを防止するためです。
よって ×
(参考過去問)
甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aの免許の取消しに関して、甲県知事は、Aが不正の手段により免許を取得したとして、その免許を取り消したときは、その旨を甲県公報に公告しなければならない。(6-50-4) ○

取引主任者に対する処分

取引主任者に対する指示処分
さて、業法は本日で終わりです。最後に皆さんが目指している、取引主任者が悪いことをした場合のお話です。するなよ。
指示処分は業者と同じです。こうしなさい。若しくは、こうするな。と命令をすることです。
指示処分ができるのは、「登録権者」又は、「当該都道府県知事」です。
登録権者は、主任者登録をした、都道府県知事です。当該都道府県知事というのは、主任者が悪いことを行った都道府県の知事です。
また、指示処分は「できる」です。一定の行為に該当しても、処分をするかどうかは任意です。
以上、全て、業者と同じです。指示処分は、次のどれかの場合にすることができます。
ア.宅建業者に対して、自己が専任の取引主任者として、従事している事務所以外の事務所の、専任の取引主任者である旨の表示をすることを許し、その業者がその旨の表示をしたとき。
要するに、他の会社に名義貸しを許して、会社がその名義を表示した場合です。
イ.他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたとき。
他人に名義貸しを許して、他人がその名義を表示した場合です。
ウ.取引主任者として行う事務に関し、不正または著しく不当な行為をしたとき。
注意点として、例えば、宅建業者が、誇大広告等の禁止の規定に違反した場合は、業務停止処分事由に該当します。しかし、たまたま従業員として、指示されてその業務を行った取引主任者に対しては、指示処分は出来ません。
主任者に対する指示処分は、「取引主任者として行う事務に関して、」不正または著しく不当な行為をすることが必要です。広告に関する事務を行うことは取引主任者として行う事務ではなく、宅建業者の業務だからです。
過去問
宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、その業務に関して広告をし、宅地建物取 引業法第32条 (誇大広告等の禁止)の規定に違反し、又は違反している疑いがある場合に関して、Aが同条の規定に違反した場合、甲県知事は、Aに対して業務の停止を命ずるとともに、実際に広告に関する事務を行った取引主任者に対して必要な指示をすることができる。(10-32-1)
ヒント 業務上の問題は、業者の義務です。
×

業者の免許取消処分

免許取消処分
免許取消処分とは、免許を返せと命令することです。一番重い処分ですね。
なお、免許取消処分を受けても、宅建業者であった者、又はその一般承継人(相続人や合併した会社)は、自分達が締結した契約に基づく、「取引を結了する目的の範囲内」(つまり、未処理の契約の後始末をする範囲内)では、なお宅建業者であるとみなされて、その範囲内に限って宅建業ができます。つまり、無免許営業にはなりません。
例えば、契約を結ぶのを待っているお客さんがいて、免許取消しになったから、契約が結べませんでは、お客さんが困ってしまいますので、取引を結了する目的の範囲内の業務は行ってもよいことにしたのです。
過去問
宅地建物取引業者がその免許を取り消されてもなお宅地建物取引業者とみなされる場合がある。(50-34-3)
ヒント お客さんに不便をかけないようにする目的です。

業者の業務停止処分

業務停止処分
次に重い処分である、「業務停止処分」とは、「1年以内の期間を定めて、業務の全部又は一部の停止」を命じることです。
業務の停止処分を受けている期間中は、取引の準備のために広告を行うことなども停止です。売買・交換・賃借の広告の掲載行為など、とにかく業務は全て停止です。
業務停止処分ができるのも、「免許権者」又は、「当該都道府県知事」です。指示処分と同じです。
過去問
宅地建物取引業者の広告に関して、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法第65条第2項の規定による業務停止の処分を受けた場合、宅地建物の販売をすることはできないが、当該処分期間経過後の販売に関し、あらかじめ広告をすることはできる。(5-42-3)
ヒント 広告をすることも、全て停止です。
×

宅建業者への指示処分

宅建業者に対する監督処分
宅建業者に対する監督処分は、指示処分、業務停止処分、免許取消処分があります。指示処分→業務停止処分→免許取消処分の順番で、重い処分になります。
1. 指示処分 
◎指示処分というのは、こうしなさい。若しくは、こうするな。と命令(指示)をすることです。指示処分ができるのは、「免許権者」又は、「当該(とうがい)都道府県知事」です。
免許権者というのは、解りますよね。宅建業者に免許を与えた、国土交通大臣又は都道府県知事です。当該都道府県知事というのは、宅建業者が悪いことを行った都道府県の知事です。つまり、指示処分に該当する行為が行われた場所を管轄する、知事のことです。
例えば、大臣免許を受けた業者が、埼玉県で指示処分に該当する行為を行った場合は、国土交通大臣若しくは埼玉県知事が、指示処分をすることが出来ます。
また、指示処分は「できる」です。一定の行為に該当しても、処分をするかどうかは任意です。
指示処分は、次の場合に、該当した場合にすることができます。
◎宅建業者が、業務に関し、取引の関係者に損害を与えたとき、又は損害を与えるおそれが大であるとき。
過去問
宅地建物取引業者が、その業務に関し、取引の関係者に損害を与えるおそれが大であるときは、監督処分を受けることがある。(53-37-1)

宅建業者が悪いことをしたら

宅建業者の監督・罰則処分とは
皆さんの日常生活でも、交通違反を犯すと、免許停止や免許取消などペナルティがありますよね。これを、「行政処分」といいます。行政によるペナルティです。それと同じように、宅建業法でも、一定の違反を犯すと行政処分があります。それが、「監督処分」です。
また、交通事故で他人を死傷させると、刑法上の業務上過失致死傷罪などで懲役や罰金になることがありますが、宅建業法でも一定の違反を犯すと、行政処分の他に、刑法上の懲役や罰金になることがあります。それが、「罰則」です。
要するに、宅建業者が悪いことをすると、行政上の罰である監督処分と、刑法上の罰である罰則処分とがあります。
主に、行政上の処分である監督処分をお話します。
1. 監督処分の概要
監督処分(行政処分)は全部で6種類あります。
次のように、宅建業者に対するものが3つ、取引主任者に対するものが3つになります。3つずつですね。
ア.宅建業者に対する監督処分
1. 指示処分
2. 業務停止処分
3. 免許取消処分

イ.取引主任者等に対する監督処分
1. 指示処分
2. 事務の禁止処分
3. 登録の消除処分