平成20年 宅建試験過去問 問31 宅地建物取引業法~免許欠格と取消

【問31】 宅地建物取引業の免許 (以下この問において「免許」という。) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 宅地建物取引業者A社に、道路交通法違反により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた者が役員として就任する場合、就任時において執行猶予期間中であれば、その就任をもって、A社の免許が取り消されることはない。
役・禁錮・罰金は執行猶予になった場合も含みます。
しかし、執行猶予期間が満了したときは直ちに免許を受けることが出来ます。
執行猶予というのは、その刑の執行を一定期間猶予して、その期間を無事に経過したときは、刑の言渡しの効力が無くなる制度です。よって×
(参考過去問)
公職選挙法違反により禁錮1年、執行猶予1年の刑に処せられ、現在、執行猶予期間中である者は、宅地建物取引業の免許を受けることができない。
(59-37-1) ○
2 宅地建物取引業者B社に、かつて破産宣告を受け、既に復権を得ている者が役員として就任する場合、その就任をもって、B社の免許が取り消されることはない。
破産者の復権というのは、借金で首が回らなくなってしまい、破産手続開始の決定をします。
その決定があった後に、裁判所で財産の整理が終わると、普通の人間に戻ります。
つまり、権利が復活するわけです。復権した場合は、直ちに免許を受けることが出来ます。5年まつ必要などもありません。よって ○
(参考過去問)
破産者で復権を得てから5年を経過しない者は、宅地建物取引業の免許を受け
ることができない。(59-37-4) ×
3 免許を受けようとするC社に、刑法第206条 (現場助勢) の罪により科料に処せられた役員がいる場合、その刑の執行が終わってから5年を経過しなければ、C社は免許を受けることができない。
刑罰を重い順に、並べると、下のようになります。
死刑→懲役→禁錮→罰金→拘留、科料(かりょう)。
他に行政上の行政罰として、過料(かりょう)があります。
懲役は刑事施設に入って労務をする必要があります。禁錮は労務がありません。
罰金は、お金を払えということ、拘留は30日間、刑事施設に入れられる刑です。(刑法上は罰金より軽いとされています)。
科料は罰金よりもっと少額で、過料はもっと軽微な金銭納付のことです。
罰金以上の刑が対象のため、×です。
(参考過去問)
甲県知事の免許を受けているE社の取締役Fが、刑法第208条(暴行)の罪により罰金の刑に処せられた場合、E社の免許は取り消される。(17-31-4) ×
4 免許を受けようとするD社に、刑法第204条 (傷害) の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、その猶予期間が満了している役員がいる場合、その満了の日から5年を経過しなければ、D社は免許を受けることができない。
1番のとおりです。執行猶予が終われば奇麗な体。
以上、正解しないと話になりません。

業とは

「宅地」「建物」「取引」「業」の「業」です。
さて、最後の業です。業とは「不特定多数の者に対して、反復継続して行うこと」をいいます。
不特定多数とは、決まっていない大勢の人に対してすることです。反復継続とは、繰り返して続けることです。つまり、昨日の売買・交換・賃借の取引を繰り返し多数の者に対して、行うことです。
例えば、自分の持ち家を売却するのは「宅地」「建物」「取引」までには当たります。しかし、大勢のお客さんに対して、反復継続して行わなければ、業には当たらないので、免許はいりません。そうしないと、自分の家を売るのにも免許が必要になります。
宅建試験でよく出てきている言葉としては、「分譲ないし分譲目的」という言葉があります。これは、分けて売るという言葉ですから、反復・継続して売買しているわけです。つまり、業に当たります。
また、同じく「土地を何区画かに分けて売買する」という言葉があったら、業にあたります。宅地を何区画にわけて売るのは、反復・継続しているからです。
以上の話は「その人の職業は関係ありません。」分譲や分譲目的若しくは、何区画かにわけて売買する場合などは、農家のおじさんがやろうが、建設会社がやろうが「全て業にあたり免許が必要」になります。
また、その分譲の相手がどこかも関係ありません。例え、相手が国や県だろうが、自分が業としてやるのであれば、免許が必要になります。
その土地をどうやって手に入れたかも関係ありません。例え、土地区画整理や競売などで手に入れた土地でも、業として取引を行えば、免許が必要です。
業とは、不特定多数者に反復継続して、行うことです。つまり、不特定でなければ業には当たりません。例えば、会社が福利厚生として、自社の社員のみを対象に宅地を分譲する行為や、組合員のみに分譲する場合は不特定ではなく、社員や組合員という特定人です。ですから業には当たりません。
★ここは、非常に過去問が多いところなので、もう一度書きます。とにかく、宅地建物取引に当たれば、「相手が誰であれ、」不特定多数の者に反復継続して、取引をすれば業になります。惑わされないようにして下さい。
過去問
E社が従業員の福利厚生事業の一環として自社の工場跡地を区画割りし、宅地として、その従業員のみを対象に反復継続して売却する場合、E社は、宅地建物取引業の免許を必要とする。(63-35-4)
ヒント 従業員のみは、不特定多数ででしょうか。
×

取引とは

次は、「宅地」「建物」「取引」「業」の「取引」です。
取引とは以下の8種類を指します。○が取引です。不動産屋さんの、お仕事を思い浮かべて下さい。
                 売買  交換  賃借
みずから当事者として      ○   ○   ×
他人間の契約の代理として  ○   ○   ○
他人間の契約の媒介として  ○   ○   ○
用語の説明をしておきますね。
交換はいわゆる物々交換です。土地と土地を交換したりすることです。
代理は当事者から依頼されたあと、自らが代理人となって相手方と契約することです。契約は、代理人である、自分が行うのが、媒介との違いです。
媒介(ばいかい)は、当事者から依頼されたあと、相手方(お客さん)を見つけるまでがお仕事です。いわゆる仲介業ですね。契約は、本人と相手方の当事者同士で行うのが代理との違いです。
★覚えるポイントは、一点だけです。みずから当事者として賃借(転貸も含ま
れます)する行為が×になっていますよね。
これが取引だとすると、いわゆるアパートのオーナーさんも、取引に当たってしまいますので、免許を受けなければなりません。オーナーのお婆さんに、宅建試験に受からないと家を貸せませんよ、といっても仕方がないでしょう。
勿論、宅建業の免許を持っている、オーナーさんもいらっしゃいますが、オーナーとして、貸すだけであれば、免許はいりません。
ちなみに、不動産会社が会社の業務として、自らビルの賃借を行う場合も、取引にはあたりません。誰がやるかは関係ありません。「自らが賃借をする場合は取引にあたらない」と覚えておいて下さい。
その他の、売買・交換・賃借の代理、媒介を行えば、取引に当たりますので、免許が必要になります。
過去問
自己所有建物の賃貸を業として行うと、宅地建物取引業に当たる。(57-36-2)
ヒント 誰がやるかは関係ありません。自らの賃貸や転貸は取引に当たりません。
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建物とは

「宅地」「建物」「取引」「業」の「建物」です。
これには、いわゆる建物は全て入ります。現状が住宅・倉庫・工場などの形態は問いません。建物に関しては、過去30年間で、聞かれたことがありません。概要だけで十分です。

宅地とは何か

「宅地」「建物」「取引」「業」の「宅地」からお話します。
まず、宅地とは、次の2つのどちらかに当てはまるもののことです。土地の現在の状況や、登記簿上の地目の種類などは関係ありません。次に当てはまれば宅地です。
ア.現在、建物が建っている土地か、将来建つ可能性がある土地
イ.現在、都市計画法の用途地域内にある土地
以上のどちらかにあてはまれば、宅地です。
アに関しては、宅地建物取引業の目的は、何だろうということです。先ほどお話したように、不動産の取引がスムーズにいくことを、目的としているわけです。だとすると、取引される「可能性のない土地」は放っておいて、取引される「可能性のある土地」だけを考えればいいわけです。
取引される可能性のある土地というのは「建物の敷地」です。現在建物が建っているか、将来建つのかは関係ありません。人が利用する建物の敷地ですから、取引される可能性があります。ですから建物があれば(予定があれば)宅地なのです。
建物は居住用でなくてもかまいませんし、現況の姿は山だろうが、林だろうが関係ありません。本試験の問題は、惑わすために色々と聞いてきますが、とにかく「現在建物が建っているところか、将来建つ可能性がある土地」は宅地です。イは考える必要がありません。まずは、アの段階でふるいに掛けて、アに当てはまれば宅地です。
過去問
宅地とは、現に建物の敷地に供せられている土地をいう。(49-35-1)
ヒント 現在建物が建っているところか、将来建つ可能性がある土地は宅地です。だって、取引される可能性があるから、消費者を保護する必要があるのです。
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宅地建物取引業法とは

今回からは、宅地建物取引業法をお話していきます。とは言っても、そんなに難しいものではなく、いわゆる不動産屋さんに対する法律のことですね。この法律は以下の目的があります。
★宅地建物取引業法の目的は、不動産取引のアマチュアであるお客さんを保護して、不動産の取引をスムーズに行うことです。そのために、プロの側である宅建業者を監督しやすいように、色々な規定を設けたのが、宅地建物取引業法です。
お客さんとは、不動産屋さんと取引をする、相手のことです。
民法の最初に、民法は民と民(たみとたみ)の間の決まりごとだと、お話しました。つまり当事者は両方とも同レベルです。しかし、不動産取引の法律である、業法はプロである不動産屋さんと、アマチュアであるお客さんの間の法律です。
そうすると、法律でプロの側を規制しないと、アマチュアの側が不利益を被る可能性が高いのです。だって、何か問題があったときに、プロ相手では、勝てないでしょう。そのために、消費者保護と自由な取引のために、業者に対して監督と規制をしているのが、業法です。
宅建試験では16問の問題が出ます。でも、ご安心あれ。労力は民法の半分くらいです。民法は原則と例外のオンパレードでした。でも、業法には、それほど例外がありません。これは、あまり例外をつくると、法の抜け道に利用されてしまうからです。業法は最低13問から14問の正解を目指して下さい。
全体の構造は
1.前提として、宅地建物取引業とは何か。
2.取引主任者
3.宅建業者に対する規制。
になります。
ところで、宅地建物取引業とは、何の仕事ことでしょうか。単に不動産を扱う仕事でしょうか?それでは、アパートのオーナーさんも取引業にあたるのでしょうか?