平成20年 宅建試験過去問 問10 賃貸借と敷金

Aは、自己所有の甲建物 (居住用) をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金50万円を受領した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 賃貸借が終了した場合、AがBに対し、社会通念上通常の使用をした場合に生じる通常損耗について原状回復義務を負わせることは、補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているなど、その旨の特約が明確に合意されたときでもすることができない。
原則として、社会通念上通常の使用をした場合に生じる通常損耗について原状回復義務を負うことはありませんが、
判例によると契約書に具体的に明記されている時は、
通常損耗についても負担する義務を負います。
これは、事前に合意があるためです。よって ×
2 Aが甲建物をCに譲渡し、所有権移転登記を経た場合、Bの承諾がなくとも、敷金が存在する限度において、敷金返還債務はAからCに承継される。
賃借人が旧賃貸人に差し入れていた敷金や保証金などは、
後日、賃貸借が終了した時に新賃貸人が、未払賃料などを控除した残額について、返還する義務を負います。
返還義務は旧ではなく、新賃貸人が負うのです。
なお、新賃貸人のこの敷金返還義務は、新賃貸人が旧賃貸人から敷金を受け取るなどをして事務の引継ぎを受けなくても負う義務です。
賃貸人が交代するには、賃借人の承諾はいりませんので、賃貸人が勝手に交代してしまった場合、賃借人は、旧賃貸人から敷金を取り戻そうと思っても、賃貸人がどこにいるかさえわからなくなる可能性があるからです。
そのために、敷金の返還は新賃貸人の義務にしました。
賃貸借契約期間中に所有権が移転した場合(Cが賃貸人の地位を承継)、旧賃貸人に差し入れられていた敷金は当然に、新賃貸人に承継されます。賃借人の承諾はいりません。 ○
(参考過去問)
賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約に関して、この建物が、その敷地の売却に伴い2年後に取り壊されることが明らかな場合に、BがAに敷金を交付していた場合に、Aがこの建物をDに売却し、賃貸人としての地位をDに承継したときでも、Dの承諾がない限りAの敷金返還債務は承継されず、Bは、Aに対してのみ敷金の返還請求をすることができる。(11-14-4) ×
3 BがAの承諾を得て賃借権をDに移転する場合、賃借権の移転合意だけでは、敷金返還請求権 (敷金が存在する限度に限る。) はBからDに承継されない。
合法な転貸の場合です。この場合原則として、敷金返還請求権はそのまま旧賃借人にあります。 ○
(まとめ、敷金の譲渡などがない場合)
1番の賃貸人の交替→敷金返還請求は新賃貸人が負う。
3番の賃借人の交替→敷金返還請求は旧賃借人にある。
(参考過去問)
Aは、A所有の建物を、Bから敷金を受領して、Bに賃貸したが、Bは賃料の支払いを遅滞している。Bが未払賃料を支払って、Aの承諾を得て賃借権をEに譲渡した場合、Bが、Eに敷金返還請求権を譲渡する等しなくても、敷金に関する権利義務関係は、Eに承継される。(6-10-4) ×
4 甲建物の抵当権者がAのBに対する賃料債権につき物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、その賃料が支払われないまま賃貸借契約が終了し、甲建物がBからAに明け渡されたときは、その未払賃料債権は敷金の充当により、その限度で消滅する。
賃貸借が終了し建物が明け渡された場合、賃料債権は敷金が存在する限度において(敷金の額の限度において)、敷金の充当により消滅します。
これは、敷金の性格が賃料債権等の未払いに対して優先して充当されるものだからです。
賃貸借の契約書などには、敷金の弁済は賃料債権に優先して充当するという特約が入っている場合が多くあります。 よって ○
賃貸人とか新賃借人とかいろいろな人が入り混じるので、図を書いて整理しましょう。A→B など。

平成20年 宅建試験過去問 問9 売主の担保責任

宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合のAの責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
これは、民法の売主の担保責任と業法の8種規制が絡んでいます(宅建業者自らが売主のため)。
横断的に整理できているかどうかが問われる問題ですね。
1 売買契約で、Aが一切の瑕疵担保責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の引渡しの日から2年間は、瑕疵担保責任を負わなければならない。
買主に有利かどうかで判断します。
が一切の瑕疵担保責任を負わない旨を合意しても、民法より不利な規定のため無効。その場合、民法の一般原則に帰ります。
民法の原則では、この瑕疵担保の請求期間は、瑕疵があることを「知ったときから1年」です。
引き渡しからではありません。
よって ×
(参考過去問)
宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関して、売買契約に、瑕疵担保責任を追及できる期間について特約を設けていない場合、Bが瑕疵担保責任を追及するときは、隠れた瑕疵があることを知ってから1年以内に行わなければならない。(19-11-4) ○
2 甲土地に設定されている抵当権が実行されてBが所有権を失った場合、Bが甲土地に抵当権が設定されていることを知っていたとしても、BはAB間の売買契約を解除することができる。
売主の担保責任の例外です。
悪意の買主でも、契約解除と損害賠償を請求できます。
通常、売買契約で抵当権が設定されているのは当たり前。
よって、買主が知っていても抵当権が実行された場合解除できます。 ○
(参考過去問)
Aは、B所有の建物を購入した。建物に抵当権が設定されていた場合、Aが善意であるときに限り、契約を解除することができる。(59-6-2) ×
3 Bが瑕疵担保責任を追及する場合には、瑕疵の存在を知った時から1年以内にAの瑕疵担保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げていればよく、1年以内に訴訟を提起して瑕疵担保責任を追及するまでの必要はない。
ちなみに、瑕疵担保責任を追及する場合、瑕疵の存在を知ったときから1年以内にその意思を明確にすれば足り、裁判上の行使までは必要ありません。 ○
4 売買契約で、Aは甲土地の引渡しの日から2年間だけ瑕疵担保責任を負う旨を合意したとしても、Aが知っていたのにBに告げなかった瑕疵については、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権が時効で消滅するまで、Bは当該損害賠償を請求できる。
宅建業法上、瑕疵担保責任において、民法の定めより、買主に不利な特約をしても、その特約が有効になる例外が、1つだけありますので、覚えておいて下さい。
それは、売主は目的物を引渡した時から2年以上、瑕疵担保責任を負うという特約です。
引渡時から2年以上責任を負えば、季節も2度めぐってくるので、最低限瑕疵があれば、発見できると予想したわけです。
ということは、引き渡しの日から2年間だけ瑕疵担保を負う合意は有効です。
1番の問題とは意味が違います。
1番はそもそも無効な合意→民法の原則に戻るという例です。
こちらは引き渡しから2年間なので、合法です。
しかし、それでも、常識に考えて買主が「知りながら告げなかった瑕疵」については、責任を負う必要があります。よって ○
(参考過去問)
宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関して、売買契約に、隠れた瑕疵についてのAの瑕疵担保責任を全部免責する旨の特約が規定されていても、Aが知りながらBに告げなかった瑕疵については、Aは瑕疵担保責任を負わなければならない。(19-11-1) ○

平成20年 宅建試験過去問 問8 弁済

弁済に関する次の1から4までの記述のうち、判決文及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
 借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有すると解するのが相当である。思うに、建物賃借人と土地賃貸人との間には直接の契約関係はないが、土地賃借権が消滅するときは、建物賃借人は土地賃貸人に対して、賃借建物から退去して土地を明け渡すべき義務を負う法律関係にあり、建物賃借人は、敷地の地代を弁済し、敷地の賃借権が消滅することを防止することに法律上の利益を有するものと解されるからである。
売買契約が成立すると、売主は、買主に不動産を移転する債務(義務)を負い、買主は売主に代金を支払う債務を負います。
弁済とは、その義務(債務)のことです。
弁済のことを給付ということもあります。
1 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、借地人の意思に反しても、地代を弁済することができる。
弁済は債務がある者つまり債務者がするのが原則です。
それはそうですよね。
しかし、保証人になっているなどの利害関係がある第三者は、債務者の意思に反しても弁済ができます。
例えば、保証人または連帯保証人、抵当不動産の第三取得者、物上保証人などです。
借地上の建物の賃借人も、借地人が弁済をしないと追い出される可能性があるので、弁済をすることができます。よって ○
(参考過去問)
Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃貸している。AのBに対する借賃の支払債務に関して、Cは、借賃の支払債務に関して法律上の利害関係を有しないので、Aの意思に反して、債務を弁済することはできない。(17-7-1) ×
2 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を支払おうとしても、土地賃貸人がこれを受け取らないときは、当該賃借人は地代を供託することができる。
ちなみに、相手(債権者等)が弁済の受取を拒んだ場合、供託所に供託すれば、債務を免れることができます。
供託制度とは、紛争があった時に一旦お上が預かる制度です。
注意点としては、何でも間でも供託をするのではなく何か争いがあった場合の非常手段です。
相手方が明確に受取を拒否する場合などですね。
よって ○
(参考過去問)
Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃貸している。AのBに対する借賃の支払債務に関して、Aは、特段の理由がなくとも、借賃の支払債務の弁済に代えて、Bのために弁済の目的物を供託し、その債務を免れることができる。(17-7-4) ×
3 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、土地賃貸人の意思に反しても、地代について金銭以外のもので代物弁済することができる。
弁済は、債務の対象そのもので行う必要があります。
土地Aを売ったのに土地Bを引渡しても仕方がありません。
でも、逆にいえば相手方、つまり買主がBの土地でいいよといえば、それは有効です。この、他の物で弁済をすることを代物弁済(だいぶつべんさい)といいます。
代物弁済は、金銭以外の他の物で弁済するわけですから、相手方の承諾が必要になります。よって ×
4 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば、土地賃貸人は借地人の地代の不払を理由として借地契約を解除することはできない。
弁済の効果
債務者だろうが、第三者だろうが、債権者は弁済をしてもらえば問題ないわけです。弁済すれば債務は消滅します。
例えば、家賃の支払いでしたら、債務は消滅しますので、地代の不払いにはなりません。
よって ○
問題自体は、じっくり読めば解ける気がしますが、長文のため試験会場ではあせるでしょね。
できてほしい問題。

平成20年 宅建試験過去問 問7 注意義務あれこれそれ

注意義務に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 ある物を借り受けた者は、無償で借り受けた場合も、賃料を支払う約束で借り受けた場合も、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
有料の場合=賃貸借
無料の場合=使用貸借 となります。
使用貸借契約とは、不動産などをタダで貸し借りするときの契約です。
例えば、親子の間で、親の家をタダで息子夫婦に貸している場合などです。
無料ということで、契約としては「おかしいな例外的な規定だと思わなければなりません。
それは、そうですよね。
人様に「無料で貸す」というのは、そもそもおかしいことですから。
ですから、使用する人の注意義務に差が出てきます。
これは ○ です。
賃貸借は善良なる管理者の注意義務が必要です。
一方、使用貸借も(例え、相手が親でも)人様の物ですから善良なる管理者の注意義務が必要です。
2 委託の受任者は、報酬を受けて受任する場合も、無報酬で受任する場合も、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。
委任契約は無償が原則です。何かおかしいですよね。
不動産屋さんも商売なのですから、仲介手数料などは、しっかり取られると思います。しかし、委任契約は無償が原則なのです。
委任契約を締結した場合は、特約がない限りは、受任者は報酬を請求できません。
これは、実は委任契約というのは昔の庄屋さんなど、地元の名士の方が民百姓から、依頼を受けて法律的な相談事をしていたのが始まりだからです。
昔は字を読めないというような方も大勢いらっしゃいました。
そのため、例えば田んぼの境界線や離婚問題など、法律的な争いがあった場合は名主さんが「無料」で相談に乗っていたわけです。いわゆる村の相談役です。
それこそ行列のできる無料相談所を、何百年も前から行っていたわけですね。
その名残りがありますので、委任契約は原則として無料です。
しかし、不動産屋さんはこの後勉強する宅建業法や、都道府県の条例関係で、報酬を受けとっても良いと定められています。
先ほどお話をしたように、委任契約における受任者のルーツは庄屋さんなどで
すから、いわゆる知識階級です。
そこで、受任者は報酬の有無や多少にかかわらず、常に、善良なる管理者(ぜんりょうなるかんりしゃ)としての注意義務をもって委任事務を処理する必要があります。自己のためにするのと同一の注意では足りません。よって ○
(参考過去問)
受任者は、報酬を受ける特約のないときは、自己の事務処理におけると同程度の注意義務で足り、善良な管理者としての注意義務までは負わない。(63-4-2) ×
3 商人ではない受寄者は、報酬を受けて寄託を受ける場合も、無報酬で寄託を受ける場合も、自己の財産と同一の注意をもって寄託物を保管する義務を負う。
寄託とは、当事者の一方(受寄者)が、相手方(寄託者)のために物を保管することを約して、それを受け取ることによって成立する契約の一種です。
寄託は無償が基本ですが、相手方から対価を受けとってもかまいません
しかし、基本的に相手のために行っているわけですから、以下の違いがあります。
結論は商人であろうがなかろうが同じです。
有償の受寄者=善良なる管理者の注意義務
無償の受寄者=自己の財産に対すると同一の義務 よって ×
4 相続人は、相続放棄前はもちろん、相続放棄をした場合も、放棄によって相続人となった者が管理を始めるまでは、固有財産におけると同一の注意をもって相続財産を管理しなければならない。
注意義務に関して、相続人はその固有の財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければいけません。
自分の財産と同レベルということです。
相続の場合、最終的に自己(又は親族)に財産は帰属するからです。
相続の放棄をした時はどうなるでしょうか?
この場合、放棄によって相続人になった者が、(相続が終わり)相続財産の管理を始めることができるまで、同じく固有の財産におけるのと同一の注意義務を負います。よって ×
以上、3番が正解肢ではありますが、3番か4番かで迷うと思います。
相続=いずれは、自分(又は親族)に財産が移転するため、自己の物だよなと推定できれば、正解できると思いますが、悩む問題ですね。

平成20年 宅建試験過去問 問6 多数当事者の債権 連帯債務者と連帯保証人

AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れる場合と、DからEが1,000万円を借り入れ、Fがその借入金返済債務についてEと連帯して保証する場合とに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
最初の部分は連帯債務者、後の部分は連帯保証人に関する問題です。
(免除の絶対効)
1 Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Dが、Eに対して債務を免除した場合にはFが、Fに対して債務を免除した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
前段は○です。
連帯債務は、免除は負担部分に対して、絶対効(ぜったいこう=他の者にも影響を及ぼす)があります。
後段は間違いです。主債務者Eの債務を免除すると連帯保証人Fの債務もなくなりますが、連帯保証人Fの債務を免除しても主債務者Eの債務はなくなりません。×
(請求の絶対効)
2 Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ぶ。
正しい肢です。
連帯債務の履行の請求は絶対効があり、他の連帯債務者にも効力は及びます。
1人1人に請求ではめんどうでしょ。
一方、連帯保証の場合も、連帯保証人に対する請求は債務者にも効力が及びます。
(引っ掛け)
連帯保証人ではなく、通常の保証人の場合、保証人への請求は債務者には効力は及びません。これはよく聞かれるところ。
「保証債務は主たる債務の従たる債務」のため、
主たる債務に関して生じた事由は、保証債務にも及びます。
逆に、保証人に生じた事由は主たる債務者に影響しないのが原則です。
しかし、連帯保証人に請求した場合は、その効果は債務者にも及びます。
これは、「連帯」しているからですね。
参考過去問
AのBに対する債権(Cも、Aに債務を負い、又はBの債務を保証している。)についてのAの履行請求に関して、CがBの連帯保証人の場合、AのCに対する履行の請求は、Bに対しても効力を生じる。(2-7-3)○
(時効の絶対効)
3 Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Eについて時効が完成した場合にはFが、Fについて時効が完成した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。
これも同じような問題。連帯債務は絶対効があるので、前段は○。
後段は、連帯保証人に時効が成立しても、債務者の債務はなくなりません。
よって ×
(無効は相対効=つまり、他の人に影響しない)
4 AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合はEが、それぞれ1,000万円の債務を負う。
前段は○。後段は、DとEの間の主債務が無効の場合、連帯保証もなくなります。
ただ、連帯保証が無効でも、主債務は残ります。
だって、お金を借りているわけですから。
AからFが入り組んで難しく感じますが正解肢は過去問で何度も聞かれたレベル。
正解して欲しい問題です。

平成20年 宅建試験過去問 問5 債権者取消権

Aは、Bに対する債権者であるが、Bが債務超過の状態にあるにもかかわらずB所有の甲土地をCに売却し所有権移転登記を経たので、民法第424条に基づく詐害行為取消権 (以下この問において「取消権」という。) の行使を考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
債権者取消権とは(初出題)
債権者は、債務者がその債権者を害することを知って行った法律行為の取消しを(これを詐害行為(さがいこうい)といいます)裁判所に請求することができます。
これが、債権者取消権です。債務者は債権者が不利益をこうむることを知っていて、法律行為を行うため、債権者に取消権を与えたものです。
1 対象となる詐害行為が行われた時点において、AのBに対する債権が、発生済みでかつ履行期が到来している場合でなければ、Aは取消権を行使できない。
詐害行為がなされた時に債権は成立している必要がありますが、履行期が到来している必要はありません。
債権を保全することが目的のため(つまり、債権は既に成立している)、履行期が到来しなくても、債権は成立しているからです。
×
2 Cが甲土地の購入時においてこの購入がBの債権者を害すべきことを知らなかったとしても、Bが売却時においてこの売却がBの債権者を害することを意図していた場合は、Aは取消権を行使できる。
受益者(第三者C)は、悪意つまり、債権者を害することを知っていた必要があります。知らなかったことに過失がある程度でも駄目です。
これは、知らなかった第三者は保護するべきという、取引の安全のためです。よって ×
3 Bが甲土地の売却においてCから相当の対価を取得しているときは、Aは取消権を行使できない。
判例によると、不動産を相当の価格で売却した場合、債務者の資産が消費されやすい金銭に変わるため原則として、詐害行為になります。
相当の価格という表現が難しいのですが、この辺りはケースバイケースでしょう。判例のままという意味で ×
4 Aが取消権を行使できる場合でも、AはCに、直接自分に対して甲土地の所有権移転登記をするよう求めることはできない。
詐害行為取消権実行後の登記などは、債務者の名義に戻すことができるだけで、直接債権者の名義にはなりません。
つまり、債権者が自分に直接登記名義を移すことなどできません。
債権者にとっては酷のようですが、他の債権者もいる可能性が高いため、バランスを考えました。よって ○
初出題の問題です。はっきり書くとできなくも問題ありません。
初出題の場合、対応しきれないので間違っても問題なし。

平成20年 宅建試験過去問 問4 建物賃貸借と担保権の対抗力

Aは、Bから借り入れた2,000万円の担保として抵当権が設定されている甲建物を所有しており、抵当権設定の後である平成20年4月1日に、甲建物を賃借人Cに対して賃貸した。Cは甲建物に住んでいるが、賃借権の登記はされていない。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 AがBに対する借入金の返済につき債務不履行となった場合、Bは抵当権の実行を申し立てて、AのCに対する賃料債権に物上代位することも、AC間の建物賃貸借契約を解除することもできる。
物上代位性とは、担保物権は担保に差し入れられた物の売却・賃貸・滅失などがあっても消滅せず、担保物権を設定した者が受け取るはずの代金(売却の場合)、賃料(賃貸の場合)、保険金・損害賠償金(滅失の場合)の上にも、効力が及ぶという性質です。
ただ、抵当権者に賃貸借契約の解除権などはありません。よって ×
2 抵当権が実行されて、Dが甲建物の新たな所有者となった場合であっても、Cは民法第602条に規定されている短期賃貸借期間の限度で、Dに対して甲建物を賃借する権利があると主張することができる。
問題の趣旨がいまいちわからん・・。
短期賃貸借制度は法改正で平成16年に既に廃止されています。
よって × 法改正を、ちゃんとしっとるけ?という問題か?
3 AがEからさらに1,000万円を借り入れる場合、甲建物の担保価値が1,500万円だとすれば、甲建物に抵当権を設定しても、EがBに優先して甲建物から債権全額の回収を図る方法はない。
日本語的な問題。方法はない!と言い切る時点で、ン?と引っかかりましょう。
1番抵当権者Bに弁済するかもしれないし、順位の変更等の方法もあります。よって ×
4 Aが借入金の返済のために甲建物をFに任意に売却してFが新たな所有者となった場合であっても、Cは、FはAC間の賃貸借契約を承継したとして、Fに対して甲建物を賃借する権利があると主張することができる。
借家権の対抗要件は、賃借権の登記か建物の引渡しです。
問題文にCは住んでいると書いてあるので、引渡しはされています。
よって、Cの勝ち。 ○
(参考過去問)Aは、その所有する建物をBに賃貸した。Aがその建物を第三者Cに譲渡し、所有権の移転登記がされた場合でも、その登記前にBがAから建物の引渡しを受けていれば、Bは、Cに対して賃借権を対抗することができる。(1-13-1) ○
色々と問題の趣旨を組み合わせつつ、答えはわかりやすい問題。
けっこう好きです。できなければ駄目。

平成20年 宅建試験過去問 問3 代理関係

AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、A自らが買主となって売買契約を締結したときは、Aは甲土地の所有権を当然に取得する。
(ポイント)自己契約 代理人と相手方が同じです。
この場合は、Aの代理人なのに、B、つまり自分の利益のために動きますよね。
そのため、無効にしています。勿論、本人Aがあらかじめ許諾をしていれば、何も問題はないので有効ですよ。 ×
(参考過去問)Aが、Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に、Bは、Aのあらかじめの許諾がなければ、この土地の買主になることができない。(12-1-3) ○
2 Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Cは甲土地の所有権を当然に取得する。
(ポイント)双方代理 双方の代理人
双方代理が行われた場合、無効です。双方代理とは、代理人が本人と相手方の双方の代理人を兼ねることです
両方を代理した場合は、必ずどちらかの利益のために動きます。
例えば、報酬が多い方などに付きます。どちらかに偏ります。
ですから、両方からの代理は禁止にしました。
ただし、本人と相手方の両方が、双方代理にあらかじめ許諾していれば、双方代理は禁止されず、無権代理として無効にはなりません。
双方が了解しているわけですから。
この典型が、不動産屋さんです。不動産屋さんの仲介業務なのです。民法と宅建業法の流れがわかってきたでしょ。
(参考過去問)Aが、Bの代理人として、Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結した場合に、AがBから土地売買の代理権を与えられていた場合で、所有権移転登記の申請についてCのあらかじめの許諾があったとき、Aは、B及びC双方の代理人として登記の申請をすることができる。(8-2-1) ○
3 Aが無権代理人であってDとの間で売買契約を締結した後に、Bの死亡によりAが単独でBを相続した場合、Dは甲土地の所有権を当然に取得する。
4 Aが無権代理人であってEとの間で売買契約を締結した後に、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合、Eは甲土地の所有権を当然に取得する。
(ポイント)相続と代理
裁判で争われたケースですが、この場合、有効になるとの判例がでています。
相続というのは全ての権利を引き継ぐからです。
ちなみに、相続人が何人かいたら、どうでしょうか。
この場合、他の相続人は何も悪くないため、他の相続人が承諾をしない限りは無効です。よって3は ○
一方4は、本人が無権代理人を相続した場合です。
例えば、本人が、ドラ息子の無権代理行為を見過ごしているなどの過失がある場合は別として、「当然に」有効とはなりません。
だって、本人は原則的に悪くないからです。よって ×
(参考過去問)Aの子BがAの代理人と偽って、Aの所有地についてCと売買契約を締結した場合に、Aが死亡してBがAを単独で相続した場合、Bは、Aが売買契約を追認していなくても、Cに対して当該土地を引き渡さなければならない。(5-2-4) ○
全て「当然に」という表現が出ますが、内容を読めばわかる問題。感覚の問題です。
できなければ駄目。

平成20年 宅建試験過去問 問2 公信力と意思表示の混合問題

所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 CはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、甲土地の真の所有者はAであって、Bが各種の書類を偽造して自らに登記を移していた場合、Aは所有者であることをCに対して主張できる。
(ポイント)Bはまったくの無権利者です。これを間違っては話にならん。
登記に公信力はありません。常識でわかりますよね。Aを保護するべき。 ○
(参考過去問)Aが所有者として登記されている甲土地の売買契約に関して、Aと売買契約を締結したCが、登記を信頼して売買契約を行った場合、甲土地がAの土地ではなく第三者Dの土地であったとしても、Dの過失の有無にかかわらず、Cは所有権を取得することができる。(19-3-2) ×
※平成19年の3問目に同じ趣旨の問題が出ています。基本的なことだから、必ず知っておいてね!という出題者の愛が感じられる問題です。
2 DはBとの間で売買契約を締結したが、AB間の所有権移転登記はAとBが通じてした仮装の売買契約に基づくものであった場合、DがAB間の売買契約が仮装であることを知らず、知らないことに無過失であっても、Dが所有権移転登記を備えていなければ、Aは所有者であることをDに対して主張できる。
(ポイント)虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗できません。
この場合、第三者は善意でありさえすればよく、登記を備えている必要もありません。虚偽表示をする人が悪いのですから、とにかく善意の第三者の勝ちです。
(参考過去問)Aが、債権者の差押えを免れるため、Bと通謀して、A所有地をBに仮装譲渡する契約をした。Cが、AB間の契約の事情につき善意無過失で、Bからこの土地の譲渡を受けた場合は、所有権移転登記を受けていないときでも、CはAに対して、その所有権を主張することができる。(12-4-2) ○
3 EはBとの間で売買契約を締結したが、BE間の売買契約締結の前にAがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除していた場合、Aが解除した旨の登記をしたか否かにかかわらず、Aは所有者であることをEに対して主張できる。
(ポイント)売買契約は一旦は有効
A→B に移転
A 解除 ←B→ 売買E となる。
よって、AかBのどちらが勝ちかは、登記の有無で決着
(参考過去問)不動産の物権変動の対抗要件に関して、不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主が当該契約を適法に解除した場合、売主は、その旨の登記をしなければ、当該契約の解除後に当該不動産を買主から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。(19-6-2) ×
4 所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関して、FはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、FがBによる強迫を知っていたときに限り、Aは所有者であることをFに対して主張できる。
(ポイント)意思表示の強迫の問題。強迫ですから、善意・悪意は関係ありません。
(参考過去問)A所有の甲土地についてのAB間の売買契約に関して、Aが第三者Cの強迫によりBとの間で売買契約を締結した場合、Bがその強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはAB間の売買契約に関する意思表示を取り消すことができる。(19-1-3) ○
問題自体は簡単ですが、対抗関係になるか意思表示の問題です。
これを見分けるには、解除後なのか取り消し後なのかによります。
つまり、解除など行為の後は 対抗関係=登記の有無で決着
    解除の脅迫など意思表示の段階=意思表示の有無、善意・悪意等で決着
混同してはいけません。
参考 最短クリア宅建合格一直線 P70、86

平成20年 宅建試験過去問 問1 制限行為能力者

平成20年 1問目
行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
(ポイント)成年被後見人は、原則として、自分では何も有効にできません。後見人の同意を得ても同じです。
ここは未成年者と違います。同意を得て行った行為でも有効にはできません。これは、同意の意味自体が理解できないからです。
ただし、例外として日用品の購入その他日常生活に関する契約のみはできます。これも禁止してしまうと、食べ物さえ自分では買えませんので、不自由過ぎるからです。○
2 未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。
(ポイント)未成年者保護のため、原則的に未成年者の行為は法定代理人の同意がない場合取り消せます。
未成年者とは、20歳未満の者です。ただし、1度でも結婚した場合は、20歳未満でも、成年に達したものとみなされます。
現在の法律では、男は18歳以上、女は16歳から結婚できます。結婚生活を送るくらいですから、一人前とみなしますよということですね。
ちなみに離婚しても、元に戻るわけではありませんので、そのまま成年とみなされます。ポイントは、結婚できるような者は一人前ということ。
また、単に権利を得(え)るか又は義務を免れる行為は取り消せません。
例えば、未成年者が親戚から、単にお金を貰うという契約を致しました。単に権利を得る行為です。これは、別段未成年者に不利にはなりませんよね。
また、逆に親戚から借りていたお金を免除にしてもらう場合です。
チャラにして貰うだけで、これも別段不利にはなりませんから、同意はいりません。
未成年者に不利になるかどうかがポイントです。
単に権利を得るか義務の免除は取り消せるが、婚姻しているとダメよという複合問題。×
3 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、 四親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。
(ポイント)被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分であり、家庭裁判所で補助開始の審判を受けた方です。
原則として、行為能力はあるのですが、保護する必要がある場面もあるということ。
自分の意思はもっています。
それほど問題はないけれど、日常生活における助力が必要な程度ですね。軽度の老人性痴呆症などを想定しています。
本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、又は検察官の請求に因り補助開始の審判をします。
ただし、本人以外の者の請求で補助開始の審判をするには本人の同意が必要です。だって、原則として行為能力はあるからです。×
4 被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。
これはわかりますよね。保佐人が詐術などを用いた場合、当然取り消せなくなります。
相手をだますような者を保護するわけにはいきません。×
この問題は間違ってはいけません。解答できないと話にならん・・。
参考 最短クリア宅建合格一直線 P222