平成20年 宅建試験過去問 問11 不法行為

Aが故意又は過失によりBの権利を侵害し、これによってBに損害が生じた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aの加害行為によりBが即死した場合には、BにはAに対する慰謝料請求権が発生したと考える余地はないので、Bに相続人がいても、その相続人がBの慰謝料請求権を相続することはない。
裁判で争われた事例で、被害者が即死したときに、亡くなった本人の損害賠償請求権があると想定して、それが相続できるかというものがありました。
例えば、被害者が即死した場合は、死亡してこの世にいないわけですから、被害者本人の損害賠償請求権はありません。
そう考えると、被害者本人の損害賠償請求権が、相続人に受け継がれることはないような気がします。
しかし、そもそも不法行為制度は被害者側を厚く保護することに目的があります。
とすれば、即死とはいえ死ぬまでにタイムラグがありますので、
被害者は死んだことを理由として加害者に損害賠償を請求できますし、その損害賠償請求権が相続人に相続されます。
また、慰謝料請求権も相続の対象になります。 ×
(参考過去問)
甲建物の占有者である(所有者ではない。)Aは、甲建物の壁が今にも剥離しそうであると分かっていたのに、甲建物の所有者に通知せず、そのまま放置するなど、損害発生の防止のため法律上要求される注意を行わなかった。そのために、壁が剥離して通行人Bが死亡した。
この場合、Bの相続人からの不法行為に基づく損害賠償請求に間して、Bが即死した場合、B本人の損害賠償請求権は観念できず、その請求権の相続による相続人への承継はない。(13-10-1) ×
2 Aの加害行為がBからの不法行為に対して自らの利益を防衛するためにやむを得ず行ったものであっても、Aは不法行為責任を負わなければならないが、Bからの損害賠償請求に対しては過失相殺をすることができる。
被害者が他人の不法行為に対し、自己や第三者の権利(法律上保護されるべき利益)を守るため、やむをえず加害者に加害行為をした場合、
正当防衛とみなされて損害賠償の責は負いません。 ×
3 AがCに雇用されており、AがCの事業の執行につきBに加害行為を行った場合には、CがBに対する損害賠償責任を負うのであって、CはAに対して求償することもできない。
「使用者責任」
使用者責任とは、従業員(被用者)が不法行為を行ったとき、
従業員とは別に、その従業員を雇っている使用者(宅建業者)が損害賠償責任を負うことです。
使用者は従業員を雇って利益をあげていますので、利益を得ている以上、マイナスのことがあれば面倒をみる責任があるのです。
「求償」
使用者が被害者から請求されて、損害賠償金を支払った場合、
使用者は従業員(被用者)に対して、損害を求償(きゅうしょう=請求)できます。不法行為を行ったのは従業員だからです。
使用者が被害者に損害を賠償したときは、使用者が立て替え払いしたことになりますので、使用者は従業員にその分の弁償を請求できるのです。
従業員がわざと又は重大な過失で不法行為を行った事情がなくても、使用者は、従業員に弁償させることができます。 ×
(参考過去問)
従業員Aが宅地建物取引業者Bの業務を遂行中に第三者Cに不法行為による損害を与えた場合、Bは、その損害を賠償しなければならないが、Aに対してその求償をすることはできない。(4-9-4) ×
4 Aの加害行為が名誉毀損で、Bが法人であった場合、法人であるBには精神的損害は発生しないとしても、金銭評価が可能な無形の損害が発生した場合には、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。
ちなみに、加害者の加害行為が名誉毀損行為にあたる際には、被害者が法人であった場合、
法人には感情がないため、精神的損害は発生しませんが、
金銭評価が可能な無形の損害が発生した場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることができます。 よって ○
※不法行為の問題は、年々文章も長くなっており、難しいのですが4番の正解肢は常識の範囲で解けると思います。