5問目 不法行為~被害者保護にはどうする



不法行為のポイント~被害者保護にはどうする?

 


不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 

(不法行為と遅滞時期)


1 不法行為による損害賠償の支払債務は、催告を待たず、損害発生と同時に遅滞に陥るので、
その時以降完済に至るまでの遅延損害金を支払わなければならない。

 


不法行為はいつ起こるかわかりませんので、
期限の定めのない債務です。期限の定めのない債務は、
債権者が請求した時から、
履行遅滞になる
のが原則です。

 

しかし、
例えばひき逃げをされて、加害者が長期間に渡って分からなかった場合などは、請求のしようがありません。しかし、
現実的に被害者は痛い思いをして、後遺症なども残るかもしれません。そのため、現実的な早急の対応が必要になります。

 

そこで、
不法行為においては、不法行為が発生した時点で、加害者に責任を負
わせるため、
不法行為が起こった時点から履行遅滞になります。
つまり、
先ほどのひき逃げをされた場合には、事故の時からの延滞金もあわせ
て請求できます。
加害者の責任追及と被害者保護のためです。○

 

類似過去問


不法行為に基づく損害賠償債務は、被害者が催告をするまでもなく、その損害の発生のときから遅滞に陥る。
4-9-2)○

 

(不法行為の承継)


2 不法行為によって名誉を毀損された者の慰謝料請求権は、被害者が生前に請求の意思を表明しなかった場合でも、
相続の対象となる。

 


裁判で争われた事例で、
被害者が即死したときに、亡くなった本人の損害賠償請求権があると想定して、それが相続できるかというものがありました。

 

例えば、
被害者が即死した場合は、死亡してこの世にいないわけですから、被害者本人の損害賠償請求権はありません。そう考えると、
被害者本人の損害賠償請求権が、相続人に受け継がれることもないような気がします。

 

しかし、
そもそも不法行為制度は被害者側を厚く保護することに目的があります。とすれば、即死とはいえ死ぬまでにタイムラグがありますので、
被害者は死んだことを理由として加害者に損害賠償を請求できますし、
その損害賠償請求権が相続人に相続されます。


また、慰謝料請求権も相続の対象になります。
 ○

 

類似過去問


甲建物の占有者である(所有者ではない。)Aは、甲建物の壁が今にも剥離しそうであると分かっていたのに、
甲建物の所有者に通知せず、そのまま放置するなど、損害発生の防止のため法律上要求される注意を行わなかった。そのために、
壁が剥離して通行人Bが死亡した。この場合、Bの相続人からの不法行為に基づく損害賠償請求に間して、Bが即死した場合、
B本人の損害賠償請求権は観念できず、その請求権の相続による相続人への承継はない。(13-10-1)
 ×

 

(不法行為の連帯)


3 加害者数人が、共同不法行為として民法第719条により各自連帯して損害賠償の責任を負う場合、その1人に対する履行の請求は、
他の加害者に対してはその効力を有しない。

 

これは、
難しい問題です。参考程度でOKかと。不法行為を行う加害者は1人であるのが普通ですが、2人以上の者が共同で不法行為を行う場合もあります。
これを共同不法行為といいます。

 

この場合は、
連帯して損害賠償の義務を負いますので、2人以上のうち誰に対しても(同時でも)損害分全額の賠償を請求できます。
不法行為を行った者の過失が軽微な場合も同じです。連帯債務になりますので、連帯債務の規定を思い出して頂ければ問題は解けます
(ただし、不真性連帯債務のため、時効などの絶対効はないというのが判例。しかし、そこまでは細かすぎます。)

 

また、
この共同というのは、明確ではなくても、客観的に関連性があれば認められます。加害者の誰かが全額賠償した場合は、
他の加害者に対して、負担部分を求償できます。○

 


類似過去問


Aの被用者Bと、Cの被用者Dが、A及びCの事業の執行につき、共同してEに対し不法行為をし、A、B、C及びDが、
Eに対し損害賠償債務を負担した場合、Aは、Eに対し損害賠償債務を負担したことに基づき損害を被った場合は、
損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、Bに対し、
損害の賠償又は求償の請求をすることができる。(14-11-3)○

 

(不法行為と時効)


4 不法行為による損害賠償の請求権の消滅時効の期間は、権利を行使することができることとなった時から10年である。

 


不法行為は被害者が損害及び加害者を知った時から3年で消滅時効にかかります。
3年と短期なのは、事故があった以上、早めの処理が必要なはずですし、それ以上経つと証拠調べなども、難しくなるからです。

 

また、
1番のひき逃げで、3年以上犯人が分からない場合もありえますので、被害者が
損害及び加害者を知った時からの起算です。
不法行為のときからではありません。×

 

類似過去問


Aが、その過失によってB所有の建物を取り壊し、Bに対して不法行為による損害賠償債務を負担した場合に関して、Bが、
不法行為による損害と加害者を知った時から1年間、損害賠償請求権を行使しなければ、当該請求権は消滅時効により消滅する。
12-8-3) ×

 


難しい問題ですな。この問題は。でも、4番は明確に×になりますので、
回答できて欲しいけど。