宅建試験過去問 8種規制 平成18年度 第38問目1、3、4肢・第39問目全


業者が自ら売主になるときの8種類の規制

 


今回は少し長いですが、
過去問を理解するという意味の重要な問題。

 

 

宅建業者は、
売買や交換など、色々な契約にタッチするわけですが、宅建業者が、
自ら売主になるときのみに適用される8種類の規制のお話です。

 

今からお話していく規定は、
宅建業者が「自ら売主になり」かつ、相手方が宅建業者ではない場合に適用になります。全部で8つあるので「8種規制」とか
「8つの制限」と呼ばれています。

 


何故こういった制限ができたのかといいますと、宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者でない場合は、
プロの宅建業者とアマチュアのお客さんとの関係になるからです。そのため、自ら売主となるプロの宅建業者を特別に規制して、
アマチュアの買主をより保護するため8種類の規制が作られました。宅建業法の目的そのままの規定です。

 

1、
クーリングオフできない場合

買い受けの申込みが事務所等で行なわれた後に、
売買契約が
事務所等以外の場所で締結された場合、
クーリングオフすることはできません。

 

買う決心
(申込み)をした場所が事務所等である以上、契約自体が事務所等以外の場所で行われても、衝動買いとは言えないからです。
したがって、
逆の場合はクーリングオフできるので注意して下さい。つまり、買い受けの
申込み(決心)
が事務所等以外の場所
で行なわれた後、
売買契約が事務所等で締結された場合は、
クーリングオフをすることができます。

 

要は、
買主が行った
申込みの場所だけを考えればいいのです。
衝動買いをしたのかどうかが重要です。

 

クーリングオフできない場合     クーリングオフできる場合

業者→事務所で申込み→お客さん  業者→喫茶店で申込み→お客さん

  ←喫茶店で契約 ←        ←事務所で契約 ←

 



宅地建物取引業者Aが自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bと土地付建物の売買契約を締結した場合における、
宅地建物取引業法第37条の2の規定による売買契約の解除に関して、
BがAの事務所において買受けの申込みをした場合は、
売買契約を締結した場所がAの事務所であるか否かにかかわらず、Bは売買契約を解除することができない。(17-41-2)

 


宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で土地付建物の売買契約を締結した場合、Bは、
Aが設置したテント張りの案内所で買受けの申込みをし、
翌日Aの事務所で契約を締結した場合にはそれ以降は一切法第37条の2による当該契約の解除を行うことはできない。(18-39-1)

 


○、×

 


2、
損害賠償の予定額等の制限

宅建業者が自ら売主となり、
かつ買主が宅建業者でない場合に、宅建業者は、債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額を予定し、
又は違約金を
定めるときは、
これらを
合算した額が代金額の20%を超えることとなる定めをしてはならず、
これに反する特約は、代金額の20%を超える部分について
無効になります。

 

民法上は、
損害賠償額の予定等の額には制限がありません。しかし、それを適用して、プロの宅建業者とアマチュアのお客さんとの間の、
損害賠償額も無制限にするとお客さんに不利になります。

 

例えば、
あえて非常に高額の損害賠償額を予定して、買主を必要以上にしばりつけようとすることなどを防止する必要があります。そこで、
プロの宅建業者とアマチュアのお客さんの間では、宅建業者は、
損害賠償額の予定や違約金の合算額が、
代金額の20%を超える
ような定めができないという規定をおきました。

 

ちなみに、
損害賠償額の予定や違約金とは、債務不履行をした場合に備えて、前もって決めておくお金のことです。

損害賠償は文字通り損害があったときの賠償金、
違約金はペナルティのことですね。しかし、実質的な意味は、同じものと思ってもらっていいですよ。

 

代金額の20%ちょうどまでは問題ありません。別々に定めると、片方の金額を高くしたりして、
法の抜け穴になる可能性がありますので、合算という形にしました。色々と抜け道を考えますからね。ちなみに、
相手の承諾があっても禁止です。

 

宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション
(販売価額3.000万円)の売買契約を締結した場合において、Aは、
宅地建物取引業者でないCとの売買契約の締結に際して、
当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1.200万円とする特約を定めることができる。
(17-43-2)

 

宅地建物取引業者Aが自ら売主として、
宅地建物取引業者でないBとの間で土地付建物の売買契約を締結した場合、当該契約において、
当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、文は違約金を定めるときは、
これらを合算した額が代金の額の10分の2を超える定めをしてはならない。18-39-2)

 

×、○

 

3、
手付けの性質 
手付金を受領できる額の制限等

宅建業者が自ら売主となり、
かつ、買主が宅建業者でない場合、宅建業者は
代金額の20%を超える手付を受領してはなりません。
また、受領した手付は、
常に解約手付としての性質を有し、
この解約手付の性質に反する特約で、買主に不利なものは無効です。

 

民法では、
手付の額に制限はありません。また、手付には解約手付、違約手付など色々な種類がありますが、民法上は、そのうちどれにするかは、
当事者が自由に決めてかまいません。

 

解約手付というのは、
買主は、売主が契約の履行に着手するまでは手付を放棄して、売主は買主が契約の履行に着手するまでは、手付の倍額を返還して、
それぞれ契約を解除できる性質の手付のことです。つまり、解除権を留保した手付です。

 

宅建業者が自ら売主となり、
かつ、買主が宅建業者でない場合、解約手付の性質に反する特約で
買主に不利なものは無効になります。

 

例えば、
「買主は、支払った手付額を放棄する他に中間金も放棄しなければ契約を解除できない」という特約は、買主が不利となるので無効です。
ちなみに、
宅建業法違反でもあります。なお、解約手付の性質に反する特約でも、買主に有利なものは有効になります。

 

宅地建物取引業者Aが、
自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、中古住宅及びその敷地である土地を、代金3.500万円、うち手付金500万円で売買契約を締結しようとする場合に関して、
相手方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付金のうち250万円を放棄して、また、
Aは1.000万円を償還して
、契約を解除することができる旨の定めをすることができる。


15-41-1)

 

 

宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、
宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する場合に、AはBと売買契約を締結し、
代金の額の10分の3の金額を手付として受領した。宅地建物取引業法の規定に違反する。
(18-38-1)


(ヒント 相手は素人か?)

 


○同様のことをききたい問題


宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する場合に、
Aは自己の所有に属しない建物について、Bと売買契約を締結した。宅地建物取引業法の規定に違反する。(18-38-3)

 


宅地建物取引業者Aが、
自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結する場合に、AはBと売買契約を締結する際、
瑕疵担保責任を負わない旨の特約をした。宅地建物取引業法の規定に違反する。(18-38-4)

 


以上の2肢は、実は業法の細かい規定ではなく、相手が「誰」を聞いています。
過去問と話しをするという意味がわかってきますかね? こちらの問題も相手が宅建業者という混同を狙っています。
8種規制は相手が素人の場合のみ適用。他は相手が業者でも適用です。

 

 


宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で土地付建物の売買契約を締結した場合、当該契約に
「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Aは受領した手付を返還して、契約を解除することができる」
旨の特約を定めた場合、その特約は無効である。(18-39-3)

 


○、×、×、×、○

 


4、
手付金等の保全措置をとる義務


宅建業者が自ら売主となり、
かつ、買主が宅建業者でない場合、宅建業者は、
手付金等の保全措置を講じる前には、
工事完了
の物件の場合、
代金額の5%
を超え又は1.000万円を超える手付金等を受領
してはならず、
工事完了
の物件の場合は、
代金額の10%
を超え又は1.000万円を超える手付金等
を受領してはなりません。

 

民法上は、
売主が、手付金等の保全措置を講じる義務がないので、途中で売主が倒産や夜逃げをしてしまった場合どうしようもありません。

そこで、
プロの宅建業者とアマチュアのお客さんとの関係では、宅建業者は、保全措置を講じる前に、
あまり多額の手付金等を受領してはいけませんと規制してあります。

 



以下は、保全措置が「不要」になる場合です。3つの場合があります。

ア.
工事完了前の、未完成物件の場合は、手付金等の金額が、売買代金の
「5%以下、
かつ、1.000万円以下」の場合。

イ.
工事完了後の、完成物件の場合は、手付金等の金額が、売買代金の

10%以下、かつ、1.000万円以下」の場合。

ウ.
買主が所有権移転の登記を受けた場合。

 

ウの買主が所有権移転の登記を受けた場合、
保全措置は不要となります。登記の名義を移転してもらっていれば、売主である宅建業者が倒産しても、
買主が不動産を失う可能性はほとんどないからです。

 



宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地建物取引業者でないBとマンション(工事完了済)の売買契約(価格4.500万円)を締結した場合に関して、Aは、Bから手付金
900万円を受領するに当たって、銀行と保証委託契約を締結し、その契約を証する書面をBに交付したが、
その後Bへの所有権移転登記を行ったので、当該保証委託契約を解約した。(4-41-3)

 




宅地建物取引業者Aが自ら売主として、
宅地建物取引業者でないBとの間で土地付建物の売買契約を締結した場合、Aは、当該建物が木完成であった場合でも、
Bへの所有権移転の金記をすれば、Bから受け取った手付金等について、その金額を問わず法第41条に定める手付金等の保全措置を謡じる必要はない。(18-39-4)

 



○、○